★★☆書評|普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門 – 山崎 俊輔

普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門 山崎 俊輔 本の表紙
普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門 山崎 俊輔 本の表紙

✨星評価 — 本の難易度ガイド
★☆☆ 一つ星: 読みやすく、理解しやすい
★★☆ 二つ星: 一部専門用語を含む中級レベル
★★★ 三つ星: 複雑なアイデアや専門用語が多い上級レベル

本書について

■タイトル:普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門
■著者:山崎 俊輔
■出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

多くの人が一度は夢見ることがあります。つまりFIRE(Financial Independence, Retire Early/経済的自立と早期リタイア)です。FIREとは単に早くリタイアすることではなく、資産を効率的に管理・運用し、自分の人生の選択肢を広げることを目的としています。近年では、日本でも特に若い会社員を中心に大きな注目を集めています。

今回紹介する本は「普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門」で、日本社会や制度を基盤に、日本でFIREを達成するために必要なお金の知識をまとめた、まさに「お金の教科書」といえる一冊です。FIREに関する本は数え切れないほど存在しますが、結局は自分の環境や制度に合わなければ実用性はありません。その点で、この本は日本で生活する普通の会社員にとって、特に実用的なガイドとなります。

また、金融知識がほとんどない人でも理解できるように、やさしく丁寧に説明されています。FIREに興味はあるけれど、どこから始めればいいのかわからなかった人にとって、最初の一歩を踏み出すための心強い入門書となるでしょう。

内容の要約

本書は、日本で普通の会社員として生活しながらもFIREを実現するための道を示す入門書です。著者はFIREを単なる早期リタイアとしてではなく、より自由に生きるためのお金の戦略として捉えています。

まずFIREの概念を解説し、日本社会や制度の中でそれを準備する際に考慮すべき点を指摘しています。そのうえで、単なる節約には限界があることを示し、できる限り収入を増やすことの重要性を強調します。同時に、日常生活の中で1円でも節約し、少しずつ貯蓄額を増やしていく習慣の必要性についても語っています。

また、貯めたお金はそのままにしておくのではなく、投資を通じて増やしていくべきだと説明します。そのために、日本で利用できる金融商品や制度についてもわかりやすく解説しています。さらに、FIREを準備する過程で必ず知っておくべき金融知識や税金、年金に関する基本的な理解も扱っています。

さらにFIREを実行する具体的なパターンをいくつか提示し、読者が自分の状況に合った方法を選べるように導きます。そして、目標を達成した後も安定した生活を続けるために必要な資産管理やライフスタイルの維持方法についても紹介しています。

結局のところ本書は、「どのように稼ぎ、どのように使い、どのように増やすのか」という根本的な問いに対し、日本の現実的な制度や環境の中で答えを示す入門教科書といえます。FIREをただ憧れていただけの方々にとって、実際に一歩を踏み出すための実践的なガイドとなるでしょう。

印象に残った言葉

■「年収をもっと増やす」「ムダな支出を減らす」「できるだけ高利回りで増やす」

■能力があるはずのあなたに、適切なギャラを提示できない今の会社が悪いのです。

■結婚していない人がFIREを目指すのは、自分ひとりの人生をしっかり自覚し、自分で自分を守るチャレンジです。

読後の感想

著者が本書で最も強調しているのは、「もっと稼ぐ」「もっと節約する」「もっと貯める(投資によって増やす)」 ということです。非常にシンプルで基本的な原則に思えるかもしれませんが、これこそがFIREを実現するための核心的な実践項目だと感じました。この三つのうち一つでも欠けてしまえば、FIRE達成への道は大きく遠回りになるかもしれません。

私自身も現在FIREを目指しています。ただし私の場合は単なる早期リタイアではなく、生涯にわたり自分のために働ける環境をつくることに大きな意味を置いています。言い換えれば、会社員としての早期引退ではなく、自分に合った生涯の職業への転換だといえるかもしれません。

本書は、私が生活している日本の社会環境や金融制度を基盤に、とてもわかりやすく説明されています。著者のアドバイスに忠実に従うだけで、目標達成に一歩近づけると感じました。たとえFIREを直接の目標にしていなくても、お金に関する基本的な考え方を正すうえで非常に有益な一冊だと思います。

特に印象的だったのは、FIRE達成後の人生をどう生きるかについての著者の視点でした。著者によれば、一般的な定年退職であっても残りの自由時間はおよそ11万時間もあり、FIREを達成すればその時間は2倍に増えるといいます。その長い時間を単なる自由時間として使うことも悪くはありませんが、自分の人生をより価値ある、美しいものにするために活かすことができれば、さらに素晴らしいはずです。そうした意味でも、私自身「生涯の職業づくり」という目標を必ず実現したいと思っています。

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