
✨星評価 — 本の難易度ガイド
★☆☆ 一つ星: 読みやすく、理解しやすい
★★☆ 二つ星: 一部専門用語を含む中級レベル
★★★ 三つ星: 複雑なアイデアや専門用語が多い上級レベル
本書について
■タイトル:To Be Rich (トゥー・ビー・リッチ)
■著者:ラミット・セティ
■出版社:ダイヤモンド社
日本で刊行された「To Be Rich」は、ラミット・セティ(Ramit Sethi)が執筆した「I Will Teach You to Be Rich」の日本語版タイトルです。
著者のラミット・セティは、アメリカ合衆国カリフォルニア州出身の作家・起業家です。スタンフォード大学で科学・技術・社会(Science, Technology and Society)を専攻し、心理学を副専攻として学びました。その後、同大学で社会心理学を中心とした社会学の修士号を取得しています。
2009年に出版された「I Will Teach You to Be Rich」は、ニューヨーク・タイムズおよびウォール・ストリート・ジャーナルのベストセラーリストに同時にランクインしました。本書は、個人の資産管理を自動化し、価値観に沿ってお金を管理する方法を紹介しており、23か国で100万部以上を売り上げています。
内容の要約
本書では、裕福になるための特別な秘訣は存在しないと述べられています。その代わりに、小さな実践を着実に積み重ね、一定の規律を保つことで、比較的少ない労力でも資産を増やすことが可能であると説明しています。金融や投資に関する専門的な知識よりも、実際に行動に移す方法を学ぶことが重要だと強調しています。
著者は、クレジットカードを無計画に使うのではなく、最適化して賢く利用することを勧めています。また、投資用の証券口座を開設し、数千円といった少額からでも投資を始めることの重要性を述べています。そのためには、これまでの金銭に対する考え方を見直す必要があるとしています。さらに、寝ている間にもお金が自動的に動く仕組みを構築する考え方を紹介しています。
本書では、金融の専門家の助言がなぜ個人にとって役立たない場合が多いのかについても説明されています。あわせて、少額から比較的簡単に投資できるターゲット・デート・ファンドなど、さまざまな金融商品が紹介されています。最後に、資産管理のためのポートフォリオの調整方法を解説し、人間関係や結婚、住宅購入といった人生の主要なイベントを、経済的に安定した状態で迎えるための考え方についても触れています。
印象に残った言葉
■リッチな生活の10のルール
「1」リッチな生活は、好きではないものへの支出を容赦なく抑えることで、好きなものに惜しみなくお金を使える暮らしのことだ。
「4」支出を抑えるには限度があるが、いくら稼ぐかには上限がない。
「8」舵取りをするのはあなただ。これはディズニー映画ではない。誰も助けに来てくれない。
■お金には存在する理由がある。あなたがやりたいことをやるためだ。確かに、今稼いでいるお金を使わずに投資に回せば、将来もっと大きな価値になる。ただ、明日のためだけに今を犠牲にするのは、正しい生き方ではない。ほとんどの人が見落としているある投資がある。それは自分自身への投資だ。
読後の感想
多くの人は、裕福な人には何か特別な理由があるに違いないと考えるかもしれません。しかし著者は、豊かになるための特別な秘訣は存在しないと述べ、むしろ比較的少ない努力でも資産を築くことは可能だと説明しています。
本書の中で特に興味深かったのは、ダイエットとパーソナルファイナンスの共通点を比較している部分でした。ダイエットにおいて摂取カロリーを正確に把握しないと、実際には自分が思っている以上に食べてしまうことがあります。これはパーソナルファイナンスでも同様で、支出を正しく把握していなければ、想像以上にお金を使っているという点と重なります。また、ダイエットでカロリーや食事、運動といった細かな点ばかりを議論することは、金融において金利や話題の個別株に過度に注目することと似ていると説明されています。実際の研究結果や評価の定まった書籍よりも、メディアや身近な人の助言を重視しがちな点も、両者に共通する特徴として挙げられています。こうした比較を通して、著者が本書全体で何を重視しているのかが、より明確に伝わってきました。
リッチな人生の定義についても強く印象に残りました。好きではないものへの支出は抑え、好きなものには惜しみなくお金を使える生活。それは単にどこにでもお金をたくさん使うということではなく、自分が使いたいと思うところに、使いたいだけ使える状態を意味しています。その点で、この定義は「豊かさ」というよりも、選択の自由に近い概念だと感じました。
また、支出を減らすことには限界がある一方で、収入には限界がないという言葉は、今でも私の人生の指針の一つとして残っています。私自身も株式などへの投資を行っていますが、最も重要な投資先は、やはり自分自身と自分の時間であるという点を改めて意識させられました。本書は、一般的な金融知識を並べるのではなく、あまりにも当たり前で見落とされがちな事柄を、生活の文脈に沿って説明してくれる金融書だと感じました。


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